耐震診断

職業分類:02_008-03 信頼度 ★★★★★

建物、店舗、住宅等の耐震性能を診断し、必要に応じて補強や改修計画を提案する。

平均年収
679万円
レンジ 442〜1,213万円
最高年収の目安
1,213万円
上位10% 1,035万円
5年後の予想年収
783万円推定
2031年
10年後の予想年収
904万円推定
777〜1,049万円
将来性
65/100
★★★☆☆ 高い
AI代替リスク
—
—
求人需要
高い
有効求人倍率 5.58倍

仕事内容

建物の耐震性能を診断し、必要に応じて地震に備えた補強や改修計画を提案する。主に1981年6月以前の旧耐震基準で建てられた学校、工場、倉庫、商業ビル、公共施設等の大型の建物や、個人商店などの店舗、住宅等の家屋の耐震性能の診断を行う。
 建築物は構造上、RC造(鉄筋コンクリート造)、鉄骨造、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、木造の4種類に大きく分けられるが、耐震診断の方法は非木造の建物と木造の建物では大きく異なる。ここでは旧耐震基準の建物が多く残っている木造建築に関する耐震診断について記述する。
 木造建築の耐震診断は市町村などの自治体が推奨しており、個人住宅の耐震診断は自治体からの紹介で依頼を受けることが多い。依頼を受けると、まずは依頼主と面談し、調査日を決める。その際に調査の内容や住宅の全居室、トイレ、浴室、押し入れなどを含め、住居のすべてを見せてもらうことを説明し、理解を求める。また、事前調査として対象建物の築年数、設計図、増改築の有無、劣化や不具合が見られる箇所、浸水被害等の情報を集める。その後、現地調査となるが、木造建築の耐震診断には一般診断法と精密診断法がある。一般的には非破壊調査で、費用も抑えられ、一定精度の診断が可能な一般診断法が推奨されている。
 一般診断法による調査の場合、現地調査は数人がかりで半日程度かけて行われる。建物内については、まず建物の図面と現状の間取りや構造が一致しているかを確認し、現地調査票に現時点での正確な間取り、柱や窓の位置などや構造を記入し、図面を作る。また、各部屋の4面や劣化箇所などの写真を撮る。壁の強度の調査としては、壁の材質のほか、筋かい(建物に対して斜めに入れて支える木材)が図面通りに入っているかを確認する。その際、小屋裏(建物の屋根の内側)や天井裏まで筋かいの位置を調べたり、床下から建物の土台部分を観察し、筋かいの位置が適切か確認するなど調査する。あわせて梁、柱、筋かいを固定するための金物の劣化状態や接合部の不具合、施工状態についても確認する。また、水回りや床下などの水漏れや結露の可能性が多い箇所は、木材が腐ったり白蟻の被害を受けやすいため、木材がどの程度水を含んでいるか、目安となる含水率を調べる。屋外の調査では外壁や基礎の部分の材質、ひび割れ、劣化等による損傷のほか、屋根の材質、構造、劣化、雨漏りの有無についても調査する。
 現地調査終了後、確認箇所の記録や写真を事業所に持ち帰り、写真にメモをつけてまとめるなど、依頼主に結果をわかりやすく提示するための資料整理を行う。同時に、収集した調査データに基づいて耐震性の総合評価点を算出する。この計算は、従来は手計算によって行われていたが、近年はパソコンで計算できる各種ソフトが開発されており、データを入力すると評価点が算出される。総合評価は4段階で、1.5以上(倒壊しない)、1.0以上~1.5未満(一応倒壊しない)、0.7~1.0未満(倒壊する可能性がある)、0.7未満(倒壊する可能性が高い)となっている。耐震診断においては、最終的にはこの総合評価を含む耐震診断結果の報告書作成までが一連の作業となる。なお、総合評価点において「倒壊する可能性がある」もしくは「倒壊する可能性が高い」という診断となった場合は、耐震補強が必要という判定となるため、依頼主が耐震補強工事を希望する場合を想定し、耐震診断の調査結果から補強すべき箇所、方法等に関する提案を作成する。
 耐震診断のうち特に木造家屋については、耐震強度が不足している場合、大地震の際に崩壊する危険性が高く、人の命に係わる重大な責任が伴う。調査結果のとりまとめに関しては自分の判断となるため、これで本当に大丈夫なのかと、考え込んだり悩むことも多い。また、現地調査では古い家屋の小屋裏、天井裏や床下にも立ち入ることがあり、埃や土砂まみれになったり、虫が多かったりと大変な部分もある。反面、耐震診断の結果をみて依頼主が耐震補強の必要性を理解し、補強工事を決意してくれたり、工事を済ませた依頼主から、これから安心して住み続けられる、という感謝の言葉を聞くと大きなやりがいや喜びを感じる。

<就業希望者へのメッセージ>
 住宅は、住む人にとって人生そのものです。人の命を守る・育てるスペースであり拠点です。人の思いを背負って携わることができるやりがいのある仕事です。(就業者 60代)
 特に高齢者が一人で住む木造住宅の耐震診断は遅れがちです。耐震性を上げる政策がいろいろと講じられる中で、耐震診断に関心を持つ人材が業界に増えていくと良いと思います。(就業者 60代)

◇よく使う道具、機材、情報技術等
 作業着(軍手、ヘルメット等は必要に応じて)、記録用機器(現地調査票、デジタルカメラ、筆記用具)、調査用機器(下げ振り、水平機レーザーレベル、鉄筋探知機、含水率計、クラックスケール、打診棒、コンクリートテストハンマー)、脚立、パソコン、耐震診断計算ソフト

労働条件の特徴

耐震診断の技術者は、建築関係の事業所(建築設計事務所、建設会社、ハウスメーカー、工務店等)に所属し、耐震診断のほか様々な業務を行っている。就業条件は事業所によって異なるが、依頼主の都合に合わせた日程調整の結果、土日や夜間に作業や打合せになることもある。就業者のうち現時点では男性が多いが、木造の耐震診断の場合、依頼主の居宅内に立ち入る作業であるため女性の技術者の増加も望まれる。自治体による耐震診断や耐震補強の支援が推進されていることを背景に、旧耐震基準で建てられた木造建築物の耐震診断や補強も少しずつ進んでいるが、個人住宅の改修は住民の高齢化や改修費用の点で補強工事まで進まない場合も多く、その点は大きな課題である。このほか近年は木造建築物の登録有形文化財が観光資源として活用されているが、多くの人が立ち入る建物の安全性を保証し維持するためには、耐震診断およびそれに伴う耐震補強の仕事が重要な役割を担っている。

耐震診断の年収

耐震診断の平均年収は679万円(令和7年賃金構造基本統計調査「建築技術者」・全国)。中央値の目安は632万円、年収レンジは442〜1,213万円、上位10%は1,035万円です。

平均年収
679万円
中央値(目安)
632万円
最低年収の目安
442万円
未経験・20代前半
上位10%
1,035万円
最高年収の目安
1,213万円
トップ層
時給(一般労働者)
3,092円
短時間労働者 2,518円
最低賃金との比
2.6倍
全国加重平均 1,177円(2026年度)
求人賃金(月額)
34.3万円
前年度比 +0.7万円

あなたの年収は、同じ年代の耐震診断の中で上位何%?

歳 万円

入れた年齢・年収は送信・保存しません(この画面の中だけで計算)。同年代の分布は、この職業の年収の分布と年代別の年収(賃金構造基本統計調査の年齢による差から推計)から出しています。

耐震診断の時給3,092円は、最低賃金(全国加重平均1,177円・2026年度)の2.6倍です。都道府県別の最低賃金 →

年代別の年収推定

20代
491万円
30代
596万円
40代
689万円
50代
773万円

平均年収と平均年齢(43.4歳)から、賃金構造基本統計調査の年齢階級別賃金の形に合わせて推計。

経験年数別の年収推定

未経験
497万円
1〜3年
558万円
3〜5年
618万円
5〜10年
697万円
10年以上
788万円

雇用形態別の年収推定

正社員 679万円パート・アルバイト 285万円フリーランス・自営 713万円契約社員・派遣社員 530万円

年収の推移(統計の年ごと)

調査年年収就業者数有効求人倍率求人賃金(月額)
2021年586万円———
2022年620万円———
2023年633万円—5.57倍32.9万円
2024年642万円—5.58倍33.6万円
2025年679万円—5.58倍34.3万円

平均年収・中央値・上位10%の見かた →

耐震診断の将来予想年収(3年後・5年後・10年後)推定

現在679万円 → 3年後 740万円 → 5年後 783万円 → 10年後 904万円(10年後の予想レンジ 777〜1,049万円)。年率の伸びは+2.9%と見ています。

679万円
現在
2026年
740万円
3年後
2029年
683〜805万円
783万円
5年後
2031年
706〜873万円
904万円
10年後
2036年
777〜1,049万円

年率の伸びの内訳

賃金の基本の伸び +1.8%求人需要(人手不足) +1.0%求人賃金の勢い +0.1%合計 +2.9%/年

将来予想年収 = 現在の年収 ×(1+年率の伸び)^年数。年率の伸びは、賃金の基本の伸び率に、有効求人倍率・求人賃金の前年差・AI代替リスクを足し引きして職業ごとに決めています。予測は保証ではありません。計算のしかた →

耐震診断の将来性スコア

65/100
★★★☆☆
高い・全職業で66位
参入障壁
49点
年収水準
86点
求人需要
96点
賃金の勢い
10点
人手不足(平均年齢)
52点

各要素は全職業の中での順位(0〜100)。配点:求人需要25・賃金の勢い15・年収水準15・AI耐性25・人手不足10・参入障壁10。

耐震診断のAI代替リスク

計算中です。

AIによる仕事内容の変化

解説は準備中です。

AI代替リスクは、job tag の調査データ(仕事の性質・仕事の内容・スキル・知識)から、AI・ソフトウェアに置き換わりやすい要素と置き換わりにくい要素を比べて、全職業の中での相対的な位置を 0〜100% にした推定値です。考えかた →

耐震診断の求人需要

有効求人倍率
5.58倍
全職業で17位
求人需要
高い
77/100
求人賃金(月額)
34.3万円
前年度比 +0.7万円
就業者数
—
国勢調査
平均年齢
43.4歳
労働時間
166時間/月
5年後の求人数
+18.7%
推定
10年後の求人数
+33.6%
推定

有効求人倍率が1倍を超えると、求職者より求人の方が多い(人手不足)状態です。求人数の予測は、求人倍率・求人賃金の勢い・AI代替リスクからの推定です。

アメリカでは:土木エンジニアの年収・将来性

耐震診断に当たるアメリカの職業「土木エンジニア」(米国の職業分類 17-2051)の年収の中央値は約1,586万円($100,840・1ドル157.25円で換算)。日本の平均年収679万円の2.3倍です。

日本:耐震診断アメリカ:土木エンジニア
年収(日本=平均・米国=中央値)679万円1,586万円
$100,840
上位10%1,035万円2,567万円
$163,220
10年後の予想年収904万円2,046万円
$130,100
将来性スコア6556
AI代替リスク—68% 高い
求人需要求人倍率 5.58倍雇用の増減予測 +6.4%
2025–35・BLS
就業者数—36.8万人
時給(平均)3,092円
最低賃金の2.6倍
8,177円
$52.00
連邦最低賃金の7.2倍
最低賃金1,177円
全国加重平均・2026年度
1,140円
連邦 $7.25。州ごとにもっと高い額あり
入職に必要な学歴(米国)—学士号(大卒)

米国のデータは BLS(労働統計局)の OEWS と雇用予測、O*NET。米国の金額は1ドル157.25円で円に換算(為替は毎日更新)。日本は平均値・米国は中央値で、調査の職業の範囲も違うため、目安として見てください。アメリカの職業のくわしいデータ(英語)→

世界では:専門職の平均月収を国別に比べる

耐震診断は国際標準職業分類で「専門職」に入ります。133か国・地域の専門職の平均月収を円に直すと、日本は月42.6万円で36位、1位はルクセンブルクの月183万円です。アメリカは月136万円で日本の3.2倍。物価の違いをならした購買力平価では、日本は35位です。

1. ルクセンブルク
183万円
2. スイス
151万円
3. アメリカ
136万円
4. ベルギー
127万円
5. デンマーク
127万円
11. ノルウェー
113万円
13. フランス
108万円
14. ドイツ
99.6万円
16. シンガポール
81.6万円
18. イギリス
80.1万円
25. 韓国
56.5万円
36. 日本
42.6万円

「専門職」全体の平均で、耐震診断だけの値ではありません(医師・看護師・薬剤師、エンジニア・プログラマー、教員、弁護士・会計士、記者・デザイナーなど。)。日本は賃金構造基本統計調査のきまって支給する現金給与額(賞与を含まない月の額。賞与込みの月平均は52.9万円)、ほかの国は ILO の統計(各国の最新年)を今日の為替で円に換算。専門職の世界ランキングを全部見る →

耐震診断に必要なスキル・資格

必要資格

job tag の「関連資格」。必須の資格か推奨の資格かは「就くには」の文で確かめてください。

なる難しさ:★★★★☆ やや難しい(学歴・訓練期間・実務経験・資格から)

耐震診断になるには(未経験からの方法)

就くには(job tag)

耐震診断の仕事を行うための必須の資格はないが、多くは大学等の工学部で建築学を専門的に学び、建築士の資格を取得後、建築設計事務所、建設会社、ハウスメーカー、工務店に就職して耐震診断の方法と技術を習得するという道筋が一般的である。もしくは工業系の高等学校を卒業後、建築設計事務所等に就職し、仕事をしながら建築士の資格を取り、耐震診断の調査方法を習得する場合もある。どちらの場合も、就業後すぐに耐震診断を任されることはなく、通常は事業所での実務経験を積みながら、事業所が請け負った耐震診断の仕事に参加しながら現地での調査方法や作業を習得していくことになる。最初から耐震診断を目指して建設関係の業界に入職するというケースは少なく、現場での実務経験を積む中で耐震診断の重要性を認識したり、業務上の必要性に迫られて勉強を始めるというケースの方が多い。
 なお、国によって認定された耐震診断の講習としては、国土交通大臣登録「耐震診断資格者講習(主催:一般財団法人日本建築防災協会)」があり、建物の構造別の耐震診断資格者講習が用意されている。受講資格は一級または二級建築士の資格を有すること、木造の耐震診断の場合は木造建築士の資格を有することである。このほか、各自治体等が行う耐震診断の技術者向けの講習会もある。木造住宅等の所有者が各自治体に耐震補強の工事のための助成金の申請をするときには、これらの講習会を受講して資格をもっている技術者に耐震診断をしてもらうことが助成金給付の条件となっている。
 耐震診断の仕事に必要な特性としては、地震に対する建物の強度や耐震性に関する専門的な知識や関心を有することが重要である。また、耐震診断の判断を正確に行うためには、綿密な現地調査によって、現況を正しく反映させた数値を収集することが必須である。そのため、必要な確認個所に対して正確で丁寧に調査する根気強さや責任感が求められる。高所や屋外での作業も多く、一定の運動能力や体力も必要である。依頼主の居宅に立ち入っての作業となるため、依頼主の要望を聞きとり、不明点を確認し、状況を適切に説明できるコミュニケーション能力も求められる。

耐震診断のキャリアルートと年収アップ方法

解説は準備中です。

年収・就業者数・労働時間・年齢・有効求人倍率は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に載っている公的統計(賃金構造基本統計調査・国勢調査・職業安定業務統計)の全国の値で、その職業が属する職業分類の統計です。将来予想年収・将来性スコア・AI代替リスクは仕事ずかんの予測モデルによる推定値で、保証するものではありません。 掲載内容の訂正のご依頼は、お問い合わせの「掲載内容の訂正の依頼」からご連絡ください。 データの見かた
出典:令和7年賃金構造基本統計調査「建築技術者」、2025年度 職業安定業務統計(職業中分類「09 建築・土木・測量技術者」)(e-Stat、2026/11/01取得。統計の分類は job tag「職業分類対応表」による)、職業情報データベース(JILPT)・直近更新 2025。将来予想・スコア・年収レンジは仕事ずかんの推定。