セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)

IT・エンジニア 職業分類:02_010-99 信頼度 ★★★★★

コンピュータやネットワークの情報漏洩、情報改ざん、運用妨害等、また、これらに至る未遂行為に対して、デジタルデータを保全し、調査・分析を行う。

平均年収
610万円
レンジ 407〜1,066万円
最高年収の目安
1,066万円
上位10% 914万円
5年後の予想年収
679万円推定
2031年
10年後の予想年収
757万円推定
651〜879万円
将来性
47/100
★★☆☆☆ ふつう
AI代替リスク
55%
中程度
求人需要
ふつう
有効求人倍率 1.45倍

仕事内容

コンピュータやネットワークの情報漏洩、情報改ざん、運用妨害等、また、これらに至る未遂行為に対して、デジタルデータを保全し、調査・分析を行う。分析結果からこれら行為や事象への対応を検討することもある。係争や訴訟において、デジタルデータの改ざん等の証拠が必要な場合、それについての調査、分析を行う。
フォレンジック調査士と呼ばれることもあり、海外ではForensic Analyst, Forensic Investigatorと呼ばれる。デジタルフォレンジックをDFと短く表記することもある。フォレンジック(forensics)の意味は科学捜査、鑑識であるが、デジタルフォレンジックは、元々、欧米では企業会計での情報改ざんなどの不正を見つけるサービスとして始まっている。国内でも証拠のデータが改ざんされる事件などがあり、デジタルフォレンジックが注目された。
 現在は犯罪捜査よりも、コンピュータやネットワークの情報漏洩、情報改ざん、運用妨害等の調査、分析の方が多く、顧客に対する情報セキュリティ・サービスの一つとして行われている。金融業、製造業をはじめ幅広い業界で行われている。監査法人のフォレンジックでは不正会計や書類の偽造等が調べられている。さらに、海外の訴訟に関連したものや、海外の当局への協力など、国際的なデジタルフォレンジックも行われている。
 デジタルフォレンジックの対象は、コンピュータ、ネットワーク、モバイルデバイス等、様々であるが、情報化の進展に伴って広がっていくと考えられる。
 デジタルフォレンジックの一般的な流れは次のようになる。
 最初に分析対象や内容に関して顧客からヒアリングする。顧客が求める分析項目をリストアップし、分析の作業方針、実施内容等を顧客と確認する。この段階で所要時間と費用を顧客に提示し、顧客と秘密保持契約を締結し、調査・分析を開始する。情報漏洩やサイバー攻撃被害を受けた等、顧客は切迫した混乱状態であることもあり、そのような顧客を落ち着かせながら対応していくことも多い。
 調査・分析では、まず、情報媒体の保全を行う。ハードディスク等デジタルフォレンジックの対象となる媒体を、専用機器で全体を複製する。この専用機器は元媒体への書込みができないようになっており、原本となる対象媒体のデジタルデータが改変されることなく複製される。デジタルフォレンジックの過程でデジタルデータが改変されていないことを証明するため、最初にオリジナルデータの保全を行うことは証拠を残す意味で重要である。
 次に、この複製したデジタルデータに対して情報の抽出、解析を行う。例えば、媒体にあるファイルの確保、削除されたファイルの復元、削除されたものも含めインターネット閲覧履歴やメールの抽出等を行う。そして、確保あるいは復元したファイルに対して、キーワードや特定文字列による検索を行う。分析対象の期間中に作成・更新されたと考えられるファイルに関してはファイルの作成日時、更新日時、アクセス記録を確認する。このような作業によって、コンピュータやネットワークに何が行われたか浮かび上がらせ、行為や事象を再現する。
 その後、今回の問題の原因や過程、影響範囲など分析結果を文書としてまとめ、顧客に報告する。分析結果から必要な対策を顧客と検討することもある。そして、案件終了から一定期間後、調査対象データや顧客から預かっている機密情報を適切に破棄する。

◇ よく使う道具、機材、情報技術等
 フォレンジックデュプリケーター(情報媒体複製装置)、フォレンジック調査分析ソフトウェア・ツール、仮想化ソフトウェア(調査・分析対象のシステムを仮想システムとして作成)、Write Blocker(証拠保全用書込防止機器)、統計解析ソフトウェア、テキストエディタ、文書作成ソフト(Word、一太郎等)、表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート等)、プレゼン資料作成ソフト(PowerPoint、Keynote等)、パソコン、大容量外部記憶装置、DVD‐R、USBメモリー

労働条件の特徴

デジタルフォレンジックを行うIT企業で働いている者が多いが、会計事務所、警察などで働いている場合もある。顧客となる大手企業が東京に集まっていることから、デジタルフォレンジックを行う会社も都内に集中している。
 就業者数、年齢構成、男女比等の統計はない。情報セキュリティに関する仕事の経験を活かして就業する人がみられる。
 顧客のセキュリティ対策、機密情報に接することから、大半は正社員である。
 土日祝日が休みの場合が多いが、緊急対応の場合等休日出勤・時間外勤務もある。フレックスタイム制をとる会社が多い。
 賃金は勤務先の規定によるが、通常のIT企業の技術系社員と同程度である。特殊な経験とスキルを必要とされることから、賃金が高い場合もある。
 社会全体が情報化する中で、情報漏洩、情報改ざん、運用妨害等は増加しており、犯罪捜査でデジタルフォレンジックが必要となることも多くなっている。このようなことから仕事は増加傾向である。

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の年収

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の平均年収は610万円(令和7年賃金構造基本統計調査「その他の情報処理・通信技術者」・全国)。中央値の目安は567万円、年収レンジは407〜1,066万円、上位10%は914万円です。

平均年収
610万円
中央値(目安)
567万円
最低年収の目安
407万円
未経験・20代前半
上位10%
914万円
最高年収の目安
1,066万円
トップ層
時給(一般労働者)
2,954円
短時間労働者 2,077円
最低賃金との比
2.5倍
全国加重平均 1,177円(2026年度)
求人賃金(月額)
34.7万円
前年度比 +1万円

あなたの年収は、同じ年代のセキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の中で上位何%?

歳 万円

入れた年齢・年収は送信・保存しません(この画面の中だけで計算)。同年代の分布は、この職業の年収の分布と年代別の年収(賃金構造基本統計調査の年齢による差から推計)から出しています。

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の時給2,954円は、最低賃金(全国加重平均1,177円・2026年度)の2.5倍です。都道府県別の最低賃金 →

年代別の年収推定

20代
455万円
30代
547万円
40代
627万円
50代
700万円

平均年収と平均年齢(42.2歳)から、賃金構造基本統計調査の年齢階級別賃金の形に合わせて推計。

経験年数別の年収推定

未経験
451万円
1〜3年
504万円
3〜5年
557万円
5〜10年
626万円
10年以上
705万円

雇用形態別の年収推定

正社員 610万円パート・アルバイト 256万円フリーランス・自営 640万円契約社員・派遣社員 476万円

年収の推移(統計の年ごと)

調査年年収就業者数有効求人倍率求人賃金(月額)
2021年559万円———
2022年535万円———
2023年558万円—1.53倍33万円
2024年629万円—1.53倍33.7万円
2025年610万円—1.45倍34.7万円

平均年収・中央値・上位10%の見かた →

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の将来予想年収(3年後・5年後・10年後)推定

現在610万円 → 3年後 651万円 → 5年後 679万円 → 10年後 757万円(10年後の予想レンジ 651〜879万円)。年率の伸びは+2.2%と見ています。

610万円
現在
2026年
651万円
3年後
2029年
601〜708万円
679万円
5年後
2031年
612〜757万円
757万円
10年後
2036年
651〜879万円

年率の伸びの内訳

賃金の基本の伸び +1.8%求人需要(人手不足) +0.12%求人賃金の勢い +0.41%AIの影響 -0.15%合計 +2.2%/年

将来予想年収 = 現在の年収 ×(1+年率の伸び)^年数。年率の伸びは、賃金の基本の伸び率に、有効求人倍率・求人賃金の前年差・AI代替リスクを足し引きして職業ごとに決めています。予測は保証ではありません。計算のしかた →

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の将来性スコア

47/100
★★☆☆☆
ふつう・全職業で348位
AI耐性
45点
参入障壁
28点
年収水準
77点
求人需要
47点
賃金の勢い
39点
人手不足(平均年齢)
37点

各要素は全職業の中での順位(0〜100)。配点:求人需要25・賃金の勢い15・年収水準15・AI耐性25・人手不足10・参入障壁10。

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)のAI代替リスク

55%
中程度
AIに奪われにくい順で全職業中333位
非常に低い低い中程度高い非常に高い

AIによる仕事内容の変化

解説は準備中です。

AI代替リスクは、job tag の調査データ(仕事の性質・仕事の内容・スキル・知識)から、AI・ソフトウェアに置き換わりやすい要素と置き換わりにくい要素を比べて、全職業の中での相対的な位置を 0〜100% にした推定値です。考えかた →

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)の求人需要

有効求人倍率
1.45倍
全職業で280位
求人需要
ふつう
45/100
求人賃金(月額)
34.7万円
前年度比 +1万円
就業者数
—
国勢調査
平均年齢
42.2歳
労働時間
160時間/月
5年後の求人数
+5.6%
推定
10年後の求人数
+10.0%
推定

有効求人倍率が1倍を超えると、求職者より求人の方が多い(人手不足)状態です。求人数の予測は、求人倍率・求人賃金の勢い・AI代替リスクからの推定です。

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)に必要なスキル・資格

必要資格

job tag の「関連資格」。必須の資格か推奨の資格かは「就くには」の文で確かめてください。

なる難しさ:★★★☆☆ ふつう(学歴・訓練期間・実務経験・資格から)

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)になるには(未経験からの方法)

就くには(job tag)

2000年に入ってから生まれた職業であり、まだ定型的な入職ルートはない。高専や専門学校で情報系を学んだ者も、大学卒や大学院卒も居る。理系をイメージするが文系も多い。セキュリティ・キャンプ(学生に対して情報セキュリティに関する高度な教育を実施し、次代を担う情報セキュリティ人材を発掘・育成するために情報処理推進機構が実施している事業)に参加した学生は、このような分野に関心があり知識があるとして採用されることもある。
 システム開発、システムの運用、脆弱性診断を行ってきた者がデジタルフォレンジックの仕事に移ってくることもある。同業他社からの移動もある。
 新卒採用の場合、社会人の基礎、コンピュータの基礎から始まり、デジタルフォレンジックを実践的に学ぶ半年程度の研修があることが多い。研修後、関係部門に配属され、デジタルデータの保全など基礎となる作業を行い、その後、先輩社員と一緒に実際の案件を調査・分析する。徐々に独り立ちできるよう、チームの中で仕事をしながら知識を広め、スキルを高めていく。2年目以降はプレゼンテーション等ビジネススキルを高める研修、より高度なデジタルフォレンジックに関係する知識・技術の研修、また、プロジェクトを進めていくための研修等がある。これら研修は社内で行うものと外部の研修に参加するものがある。中途採用は即戦力が求められ、得意な分野を活かし配属される。
 関連する免許資格として国際的なデジタルフォレンジックのスキル認証があり、仕事をしながら資格取得を目指す人もいる。情報処理推進機構の試験の中では「情報処理安全確保支援士」(登録セキスぺ)が関係し、資格取得の支援制度がある会社もある。
 新しい仕事ということもあり、社内のキャリアコースは固まっていないが、技術を磨いてチーム内の技術リーダー的な役割を担うようになる者もいれば、グループをまとめるマネジメント的な役割を担う者もいる。または、デジタルフォレンジックの経験を活かし、インシデントハンドラー(インシデント全体を担当する責任者)、EDR分析アナリスト(EDRはEndpoint Detection and Responseであり、ユーザーが利用するパソコン等における不審な動きを検知・分析し、対処する)、セキュリティコンサルタント、セキュリティ関連の講師等になる者もいる。
 コンピュータ、ネットワーク、クラウドの構築・運用の知識、マルウェア解析、攻撃手法の知識、スレットインテリジェンス(Threat Intelligence:セキュリティの脅威について収集・分析した情報とそれに対する洞察)、また、ペネトレーションテスト、脆弱性診断などに関する知識とスキル、そして、エンドポイント、ネットワーク、クラウドなどのセキュリティ対策の知識とスキルが求められる。情報セキュリティに関する最新情報は海外発信が多いことから、英語の記事を読む力も求められる。新しいシステムや新しい攻撃手法等が次々に登場する中、常に探求心、向上心を持つことも求められる。不正会計に関するデジタルフォレンジックの場合は公認会計士の専門知識が必要になることもある。
 この仕事では調査・分析のスキル以上に、高い倫理観と使命感が求められる。顧客の機密情報や個人情報を扱い、分析結果は顧客企業のその後に影響したり、裁判の行方に関係したりと、大きな社会的な影響がある。

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)のキャリアルートと年収アップ方法

解説は準備中です。

年収・就業者数・労働時間・年齢・有効求人倍率は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に載っている公的統計(賃金構造基本統計調査・国勢調査・職業安定業務統計)の全国の値で、その職業が属する職業分類の統計です。将来予想年収・将来性スコア・AI代替リスクは仕事ずかんの予測モデルによる推定値で、保証するものではありません。 掲載内容の訂正のご依頼は、お問い合わせの「掲載内容の訂正の依頼」からご連絡ください。 データの見かた
出典:令和7年賃金構造基本統計調査「その他の情報処理・通信技術者」、2025年度 職業安定業務統計(職業中分類「10 情報処理・通信技術者」)(e-Stat、2026/10/31取得。統計の分類は job tag「職業分類対応表」による)、職業情報データベース(JILPT)・直近更新 2021。将来予想・スコア・年収レンジは仕事ずかんの推定。